今月紹介する本~6月~
今月紹介する本
【介護のススメ!】を読んで
キーワード:介護の魅力「3K」とは?
私は介護という仕事には、他にはない魅力がいっぱいあると思います。「感動」「健康」「工夫」の3Kです。
介護という仕事には感動があります。入所してきてずっと無表情だったお婆さんが初めて笑った、食べなかった人が、自分の手でスプーンを口に運んだ…。介護職は居酒屋でみんなで飲んでいるときでも、そんな爺さん婆さんの話で盛りあがります。これを他の仕事の人たちは不思議がります。せめて、酒を飲むときくらいは仕事から離れたいと言うんです。一般の仕事にも感動はあります。でもそれは、大口の契約がとれたとか、入金があったとかといった、自分の会社内での評価が高くなったなんてことです。介護の感動とはレベルが違います。
二つ目。介護は健康にいいんです。一般の人はみんな運動不足で困っています。高い入会金を払ってスポーツクラブに入会してトレーニングをしています。その点介護職は有り難いです。よく動きますから運動量はたっぷりです。しかも認知症の人が出かけていくのを追いかけたりもします。「これでまたやせられる」なんて追いかけてますね。
介護の最大の魅力は三つ目のK、「工夫」ができることだと思います。介護にはマニュアルはありません。もちろん身体介護については、例えば脳卒中で片マヒの人への介助法はそれぞれのマヒのレベルに応じて知っておくべきです。でも介護は、身体に関わるだけじゃなくてその人の人生に関わる仕事でしたね。そうなると一人ひとりみんな個性的ですから、マニュアルではなくて、私たちの創意工夫に頼るより他にありません。ですから介護はやればやるほど、自分の想像力と創造力が豊かになっていく仕事なんです、こんな仕事はいまでは珍しくなっています。コンビニでアルバイトを経験したことのある人もいるでしょう。あの仕事は、工夫なんかすると怒られるんです。偉い人の作ったマニュアルどおりにやらなきゃいけません。誰がやっても差がない、単なる労働力であることが求められているんです。そんな仕事が、楽しいわけがありません。辛抱強くはなるかもしれませんが、自分が豊かになるなんてことはないでしょう。だから倫理観は生まれません。冷蔵庫に入って遊びたくなるのも無理はないかもしれません。
いい介護現場には、そんな多くの現代人の課題に応える大切なものがあるんです。自分が生きていることを肯定してくれるものが。だから私はこの介護という世界から足が抜けないでいるのです。
著者:介護のススメ! 編著:三好春樹
今回紹介する本は、三好春樹氏の「介護のススメ!希望と創造の老人ケア入門(筑摩書房)」です。
福祉の仕事は【3K】「キツイ、汚い、危険」と言われたのは昔の話。この本では【3K】「感動、健康、工夫」だと書かれていてとても共感しました。
私たちの法人・事業所では、障がい者福祉をChance(チャンス)、Challenge(チャレンジ)、Creative(クリエイティブ)の【3C】がある仕事だと捉えています。
社会にとってはマイノリティかもしれない支援がなく困っている重症心身障害児者やその家族は大勢います。「生きている」ということを全身を通して表現している重症心身障害児者。彼らを通じて見る世界はとても素晴らしいものです。そんな彼らの価値を社会に伝えることで世の中を変える、クリエイティブな挑戦に私たちは取り組んでいます。
一緒にチャレンジしたい方、募集中です!是非大阪の泉州という地域にお越しくださいませ。
介護や支援の現場は、どんどん変わろうとしてきています。今の福祉現場を知っていただくきっかけになればと思い、この本を紹介させていただきました。