今月紹介する本~12月~
今月紹介するお話
【賢者の贈り物】を読んで
12月24日のクリスマス・イヴ。
アメリカにヤングという若い夫婦がいました。夫の名はジェイムズ、妻は彼のことをジムと呼んでいました。妻の名はデラ。
ジムは貧しいサラリーマンでした。しかも、ヤング夫妻が迎えたその年は特別に景気が悪く、給料も減ってしまいました。二人はいつもより厳しいクリスマスを迎えなければなりませんでした。
それでも、デラは、このクリスマス・イヴを、なんとか楽しく過ごしたいと思っていました。そして愛する夫のために何かすばらしいプレゼントを買いたいと思いましたが、1ドル87セントしかありません。何度数え直しても、1ドル87セント。これでは何も買えません。デラの目から涙が出て来ました。
しかし、デラが姿見の前に立ちお化粧を直していたとき、すばらしいことを思いつきました。デラには膝の下までとどく美しい髪の毛があったのです。
すぐにその長い髪の毛はある品物に変っていました。それは、ジムが大切にしている金の懐中時計に付ける「プラチナの鎖」でした。
一方、ジムも愛する妻・デラのために何かすばらしいプレゼントをしようと考えていました。でもお金がありません。ジムは、祖父と父から受け継いだ大切な金の懐中時計を質に入れ、デラが欲しがっていた「鼈甲の櫛」を買いました。
デラは、ジムにプレゼントする「プラチナの時計鎖」を用意し、ジムの帰りを待っていました。
ジムは定刻通りにアパートに帰って来ました。
しかし、扉を開いたジムは、デラの顔を見て、棒立ちになってしまいました。デラのあの美しい髪の毛が無くなっていたからです。
でもそれだけではありません。髪の毛を売って買った「プラチナの鎖」をつけるはずの、ジムの金時計もなくなっていたのです。
ジムが金時計を売って、デラの髪に飾ろうとした「鼈甲の櫛」。デラが自分の髪を売って買った「プラチナの鎖」。どちらもムダになってしまいました。デラの美しい髪の毛はなく、ジムの金時計もないからです。
しかし、彼らはお互いの「思いやり」を受け取りました。自分の一番大切にしていたものを犠牲にしてまで、愛する者を喜ばせようとした、その「思いやりの心」を互いに受け取ったのです。(愛の確認)。
彼らはその二つのプレゼントを机の引き出しにそっとしまったということです。
作者のオー・ヘンリーは最後にこう言っている。「現代の賢者たちに言おう。贈りものをする人々の中で、この二人こそ「賢い人々」であったのだと。贈りものを与え、贈りものを受けとる人々のなかで、彼ら二人のごとき者こそが「最も賢き人々」であるのだと」。
原作:オー・ヘンリーO. Henry,
今回紹介するお話は、オーヘンリー氏の『賢者の贈り物』です。
二人が用意したプレゼントは、結果的にはお互いにとって不要なものになってしまいましたが、彼らのしたことは、お互いの宝物を犠牲にした愚かな行為だったのでしょうか?
作者のオー・ヘンリーは、本文の中で彼らのことを「愚かな2人の若者」と言っている一方で「真の賢者である」とも言っています。それは、自分のことより相手の喜ぶことを真剣に考えていたこと、結果的に意味のない贈り物になったとしても、相手をいたわっていること。
私の髪はすぐに伸びるのよ…
今の僕たちには立派すぎて使えないからしばらく大事にしまっておこう…
2人がお互いのことを考えて、欲しいもの、必要なモノを正しく気持ちが通じ合っているということが一番大切だということを気付かされるお話だったのではないでしょうか?
欲しい物を聞いてプレゼントする方が、無駄なく確実だと思いますが、大切な人のことを想像し思いやる気持ち、今どきではないかもしれませんが、「物質的な豊かさ」よりも「心の豊かさ」を満たす大切さを感じさせられるお話だったと思ったので、紹介させていただきました。
Merry Christmas♪ あなたにたくさんの幸せが訪れますように!