今月紹介する本~7月~
今月紹介する本
【「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?】を読んで
【相対主義の認知バイアス】
多様性を認めることはとても大切なことですが、それが極端になりすぎる場合があります。相対主義の罠です。すべての問題において「それぞれ違っていて、それぞれいい」という立場が行きすぎると、重要な判断ができなくなってしまう可能性が生じます。相対主義の考え方を突き詰めると、独裁者の存在や戦争も、「それなりに理由がある」として受け入れることになってしまうことになりかねません。自分にとっても、社会にとっても非常に重要な課題に対してこのようなアプローチを取ると、「多様性の中でどれが合理的か」と考えることを放棄してしまうことにもなります。一見理にかなっているように見える相対主義的な言説を披露する人はけっこういます。このような相対主義の罠には気をつけなければなりません。
【すらすら話される・わかりやすさと信じてしまう認知バイアス】
あるテレビの料理番組でタレントが、簡単そうで、おいしそうなレシピを紹介していたとします。「自分にもできそう」と思ってやってみた。でも、「思っていたようには、できなかった」。料理に限らず、スポーツや音楽、ダンスなどで、同様の経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
私たちには、誰かが上手にスムーズにやっている様子を見たときに、「自分にもできそう」と思ってしまうことがあります。この、「相手の流暢さ」が引き起こす判断の歪みを「流暢性バイアス」といいます。
この流暢性バイアスは、「誰かがスムーズにわかりやすく説明していると、その内容を信じやすくなる」という形でも表れます。これを悪用したものの代表が、「投資詐欺」などの詐欺でしょう。こうした詐欺は多くの場合で、簡単に理解ができる言葉で語られ、しかも立て板に水のような流暢さですらすら説明がなされます。それで、聞き手はつい、内容を信じやすくなる。内容が薄くても、ときには間違っていても、信用してしまうのです。こうした認知バイアスは、私たちの判断を歪ませるだけでなく、コミュニケーションを阻害する要因にもなります。認知バイアスにとらわれず「自分の頭で考える」ことは、「話せばわかる」「言えば伝わる」においては不可欠な要素といえるでしょう。
著書:「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?
著者:今井むつみ より引用
今回は、今井むつみさんの著書【「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?】を紹介させていただきます。
「何回説明しても伝わらない」ことは、日常的に直面する課題の一つだと思います。これを解決するために、相手の立場を理解し共感する視点と、複雑な専門用語や長文は避け、シンプルな言葉や、抽象的な概念を具体的な例で説明することが大切だと感じました。
「何回説明しても伝わらない」問題は、コミュニケーションの改善と相手への配慮によって解決できるかもしれませんね。
興味のある方は是非!
“自分の頭で考えることが必要不可欠”