今月紹介する本～3月～

今月紹介する本

【小さな悟り】を読んで

 

世の中のすべてのことは「常ならず」

「諸行無常」は、仏教の根本思想の一つ。「森羅万象、この世で起こることは一切が、片時も留まっていない」という教えです。

ところが人間というのは、自分に降りかかる変化を嫌って、「無常」に逆らおうとします。どんなにがんばって無理しても、無常を打ち負かすことはできないのに。

まずは無常を深く受け入れましょう。逆らってジタバタともがくより、無常の流れに身を任せることにエネルギーを使ったほうがいい。気持ちがラクになるし、人生も必ずいい方向に向かっていきます。

折に触れて、自分自身に向かって「無常、無常、諸行無常。すべてのことは常ならず」などつぶやいてみてはいかがでしょうか。もしあなたがいま、好ましくない状況にあっても、「やがてよくなるさ」と思えてきます。逆にいま絶好調であれば、「同じ状況が長く続くとは限らない。有頂天になってはいけない」と気持ちが引き締まります。「無常」という考え方を、よりよく生きるためのキーワードにしましょう。

 

「いま」にひたすら集中する

「無常」という観点に立つと、私たちがいましていることは一瞬にして過去になるとわかります。その過去は、どんなに抗ってみたところで、取り返しがつきません。

そんなことは誰もが知っているはずですが、「あんなことをしなければよかった」「あんなことをいわなければよかった」と悩む人のなんと多いことか。

知っておいていただきたいのは、将来を決めるのは過去の積み重ねではない、ということです。正しくは「いま」の積み重ね。「同じじゃないですか」と思うかもしれませんが、違います。やり直しのきかない過去と違って、「いま」なら、どうにでもなるからです。たとえ失敗という形で過去になったとしても、また「いま」に集中して生きていけばいいのです。「いま」を積み重ねるとは、そういうことです。

そうしてうまくいくと、結果、過去の価値が変わります。「あの過去があったから、いまの自分がある」というふうに。逆に、過去がいくらうまくいっていても、いまがダメだと過去の価値までも半減します。過去の栄光が“いい気になっていた時代”としか思えなくなるのです。ですから過去のことは潔く忘れ、いまに集中しましょう。

 

           著書：小さな悟り　著者：枡野俊明より引用

 

 

今回は、枡野俊明さんの著書「小さな悟り」を紹介させていただきます。

「悟り」と聞くと、難しいようにも感じられますが、この「小さな悟り」というのは「日々の生活における気づき」といったニュアンスで使われています。人生に悩んだときや疲れたとき、困ったときに役立つ「小さな悟り」が99の言葉とともに紹介されています。

この本を読んで、感じたこと。
『やれるだけのことを、やる——人生というのは、それでいい』

迷ったり、不安や心配を抱いたときは、「いま」を大切にして、やるべきことをやる。この小さな実践の積み重ねが、心の安定を得た人生へと近づいていくのかもしれません。

 

「小さな悟り」とは当たり前のことを当たり前にやること